story6 なぜ自分への傾聴と相手への傾聴を同時に学ぶのか②

傾聴するときには自分への傾聴が必須になります

story5 では自分への傾聴について書きました。
なぜ私がこんなにも自分への傾聴を大切にしているかというと…

相手への傾聴をするときには、自分への傾聴が必須になってくるからなのです。

前回書いたように、自分に傾聴することで相手への傾聴はできるようになってくるということももちろん理由のひとつです。

それともうひとつ、来談者中心療法=傾聴を創始したアメリカの心理学者カールロジャーズが言っている、傾聴で一番大切な「一致」もこの自分への傾聴ができることでが大切になってくるのです。

「一致」は傾聴で相手の話を聴くときには本当に大切になってくると、いつも私も感じています。
「一致」は感覚なので、言葉では説明しづらいのですが、できるだけ言語化してみますね。

相手への傾聴をしているときの「一致」の感覚

日本語で「一致」というと、なにかと同じになるのかなぁと思われる方が多いと思います。
この「一致」は「自己一致」ともいい、自分の感覚に気づいている状態です。

人の話を聴いているときに「この人はどう思っているんだろう」と相手に意識がいくと思います。
相手をわかりたいと思って傾聴しているので、それは当然のことです。

だけど私が傾聴で相手と関わるときには、「相手の話を聴きながら、自分はどう思っているんだろう」というところをわかりながら話を聴いているのです。
これが「一致」している状態です。

実際の講座の中では、もちろんこの「一致」がわかるようになっていただくことが大切なので、ロールプレイの中での聴き手の感覚を確認することももちろんしていきます。

この「一致」は自分への受容と共感をしている状態なのです。

なので、自分の心の声を普段から聴くようになっていくこと、自分への傾聴をしていくことで、傾聴で話を聴いているときに「一致」がわかるようになってきます。

例えば…先日の話

今、からだのメンテナンスをしていただいているある先生との会話の中でのこと。

先生は数年前に独立し、今はご自身で店舗をかまえて頑張っていらっしゃるところです。
お客様に知っていただくために、ホームページ内のブログを毎日更新していたとのお話を聴きました。

「けっこう大変なんですよねー」

その大変さは、普段あまりブログの更新ができていない私なので、先生の気持ちがよぉくわかります。

「そうなんですね。ブログを毎日書くのは大変ですよね」

その時はなんとなく傾聴しようと思ったので、共感で聴いていました。
だけど…私の中にも同じ気持ちが湧いて来ていました。

私の心の声は「ホント毎日書くのは大変!私は全然書けてないなぁ。先生すごいなぁ…」

そんな気持ちがあることに気づきながら、先生の話を聴いていたのです。
これが「一致」の状態です。

今回の私の話は「同感」が出て来た話ですが、別の方が先生の話を聴いた時には私とは全く違った感情が湧いてくるかもしれません。

例えば文章を書くのが大好きで、もっともっと書きたい!と思っている方が先生の話を聴いたらどうでしょう。

「へぇー先生は書くの大変なんだ。私はもっと自分の思いをみんなに知らせたいから、ブログは書きたくてしょうがない」

こんな気持ちが湧いてくるかもしれません。
この湧いてくる自分の気持ちに気づいている状態が「一致」なのです。


そんな自分の気持ちに気づいても、これをそのまま言ってしまうのは傾聴の聴き方ではなくなります。
それは日常会話なのです。

「あー私は今先生とは違う思いがあるなぁ」
だけど今は傾聴で先生の話を聴きたい!だからこの私の気持ちは横に置いておこう。
これが傾聴の状態なのです。

自分と相手の気持ちは別のもの。
似たように思うこともある。
全く違うこともある。

「一致」がわかることにより、自分と相手の気持ちを分けることができるようになります。
自分のことも相手のことも認められるようになるのです。

まとめ

傾聴の「一致」の感覚がわかるようになるには、自分への傾聴がとても大切になります。

普段から自分の心の声を聴く、自分への傾聴を習慣にしていることで、傾聴の中でも一番大切だと言われている「一致」がわかりやすくなります。

自分への傾聴と相手への傾聴を一緒に学んでいただくことが必要だと私は感じているので、新講座では同時進行で学んでいただきますね。

あなたがあなたでいられますように。